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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

九月二十七日

九月二十九日

九月三十日

十月一日

衣服のエフェクト、光、ひどく巧く、利用しすぎる位利用して居る。然しよかった。

九月二十七日(日曜)

野上さん夫婦と能

一噌の笛、五郎の鼓、河崎氏の大カワ、この三人による音楽は、実に立派だ。恍惚とさせるものあり。

邯鄲を金太郎。盧生夢さめてのところ、落寞たる感が場に漲った。これなど名手の演出というべきものであろう。かえりに、東品楼で食事。ホワイアントが、火山に小山とびこむ小石かな、という俳句をよんだという話で大笑い。

九月二十九日(火曜)雨

九月三十日(水曜)

豪雨、二日つづき、この雨、一ころ一寸閃いた秋の爽やかな日ざしかげもなし。

まるで、寝て雨のコンスタントな強い音をきいて居ると、世界水一杯、水づかりのように感じられる。

もう一日もつづいたら、家のねだからふやけて蕈のようにくされそうに思う。

〔欄外に〕

この頃家やかましくて仕事につけず。困り、よろず案内に広告を出す。静かなところに引越したら、ああ引越しさえ仕たら! と思う。

十月一日(木曜)

晴れ、あつし。

昨夜、松村みね子訳かなしき女王の中、髪あかきダフウトをひどく音楽かつ絵画的で(北欧的さが)面白いと思った。