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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

六月二十九日

六月三十日

六月二十九日(月曜)不定な天気

今日始めて幾分かゆっくり。自然なども美しく眺めた。然し、去年の思い出があざやかすぎ、複雑すぎる。

Yが居ないと寂しくもある、円いものの半ぺらないような。

母上、この頃昔から見れば金持ちになったのになかなかしわし。やるだけのこともされず、はたで気の毒に思うが致し方なし。夜、関の母を門わきに入れることについて、鈴木にひどく高飛車な、やや出たら目理屈をこねられる。私だったら一日だってそんな情知らずの家に居るものか! と思うような。母は愛が少いのだな、愛がない、愛がない。

六月三十日(火曜)晴

十一時四十分の急行で、父上と二人で帰京。駅まで、大勢送りに来た。父上が居られると皆のつとめること! 気の毒かつ笑止なり。

よい工合に割合涼し。汽車はこんで、宇都宮まで並べず。並ぶとしきりに喋り出され、長崎旅行のこと、生活のこと、外国のこと、その他、沢山。夕刻かえり、林町で夕飯、自動車で父と、国男一緒に送って下さる。母が留守だと父上まるで淋しそうにうろついて居られる。今夜も、

「一緒に行こう、英男かだれか行かないか」

「きいて御覧なさいませよ」