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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

二月十六日

二月十八日

二月十九日

二月二十日

〔欄外に〕

アンドレーエフの「イスカリオテのユダ」。訳のわるい故か、アンドレーエフの作として、あの独特の簡明さ、クリアー・カットを感じられず。ユダの性格の見かた、焦点はよいが、もう一歩どこか物足りず。ビブリカル・テーマはあのような作家にとっても困難なものと思われる。

二月十六日(月曜)

仕事の下ごしらえをやって居たら、Yより速達。此方に来ず野上さんにゆく、よかったら来いと。午後四時すぎ。暫く考えたがさそわれ、出かける。護国寺、道カン山下で降りてからいそいだこと! 首が先にあるき、足があとにのこる有様。愉快に十一時頃まで話しYの方にかえる。かえりに小雨が降って来た。

野上さんでの話。武者小路のこと、鼓のこと、「ゲエテとの対話」について。現代人ということ――夏目漱石先生の息のこと。Mr. ホワイマントのこと。

二月十八日(水曜)

仕事の筋がきを作る。始め、どこから出てよいか一寸わからず。船の上からか、又はH町の家についてからか。

二月十九日(木曜)

船の上からでは冗漫になるだろう。家にかえってからの方がよろしいと思う。

二月二十日(金曜)

頭がはっきりせず、殆ど不安を感じて居たら、お客。