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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
十二月九日
十二月十日
十二月二十七日
今年これで二度目。注意を要す。
十二月九日(水曜)
キタが居なくなったので、一種のんびりしたようなり。可笑しなもの。
ブブノワ来るかと思い、ちゃんとその仕度をしたが来ず。まだ戸をしめて居たうちに網野氏、伊藤さん等来たらしく名刺あり。夜伊藤さんから手紙、柳さんのところに仕事があったとのこと。殆ど予想外なり。よろし。よろし。
十二月十日(木曜)
Y、会。自分会へ迎えにゆき秀雄さんのところにゆく。夕飯。Yの大島あり。大よろこび。人形町の通りを歩き、銘仙を見るがよいのなし。十二時頃かえる。
晴れつづき。
山茶花の花、
散紅葉、
光った卵色と鳩羽色の夕映。その前に黒く浮く、樹木、家。
○晴れた午後三時頃、ぼーっと銀座のビルディングをこめて居る靄
〔欄外に〕
正月の富士山。概念で見ると実にやり切れなくコムヴェンショナルだが。
十二月二十七日(日曜)
晴、
湯ヶ島へ出発。朝俥の都合わるく、飯田橋まで行って自動車にのりかえなどし、やっと、乗ったら直ぐ動く程度で間に合った。
修善寺より乗合。客引きが客を奪う様、昔の宿場よろしくの光景なり。すっかり暗くなり、自動車をおりて、落合楼に下る坂に出ると、正面に輪廓丸い二つの山、龍子の墨絵のようにマッシイブに迫って力強く見え、目まいがした程であった。