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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

三月三十一日

不愉快を感じた。彼女も哀れな存在だ。強いようで弱い、弱い、決してつよくない。自分に対する抵抗力が決して私以上に強くない。小さき激しさ。然し、心づいて見ると彼女は今、少しナアヴァスになる時節だ。一寸の峠。

『改造』を一寸よむ。Y、会。自分、石本、野上氏に永い手紙をかき、Aに送る離婚届をかく。なれないもの故一寸したところで間違え、ひどく手間どった。淋しい仕事、淋しい仕事。Aのことを思うと、二人の心足らぬものと自分達(Aと自分)を思い悲しい。本当に心足らぬもの。

三月三十一日(火曜)

「洗心雑話」をよむ。「剪られた花」と一緒に買ったもの(Yと夕方雑司ヶ谷墓地に長野さんの墓詣りす。かえりY湯に入る。自分護国寺の方に歩き本やによってその間をつぶす、それで買えた)芸術を産むのは聖心だという考、これはかりそめにも芸術に携るものの知って居ることだ。が、体の練磨という項で、感覚の芸術的訓練に言及して居る。これは深く教えられるところがあった。我々は普通の場合、芸術的価値から云えば自然でも何でも見て見ぬ程度で暮すことが多い。それを心の精神の鈍りとするところ――雨が降る、マンゼンと雨の音をきく。