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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
十一月二十二日
この点、考える必要がある。わるくほだされると自分にのこるのは、結果感覚的なものだけで自分元気になれぬ。不快になる。彼の真心までいやになるからだ。
――惚れる、惚れないの微妙な差。Aの場合自分、こんな心持の差がわからなかったのだな。だから変に苦しくて、それが恋だと思って、五年をやりそこなったのだ。惚れるねうちのある人間に惚れたときの、明るい、昂揚した、燃えた心持※(感嘆符二つ、1-8-75) もやよ、お前に感謝する。ほれるという心持の光りを教えてくれ、不健康な恋愛から自分を護ってくれる力。
この理論でゆくと、□□□□□少くともほれるねうちはあったということになる。
自分は本当に光のかたまりになったからな、あの数日。
十一月二十二日
午前四時すぎ、カルタをして帰る。
○もう消えて居る街燈
○角に馬車が居る、御者いねむりをして居る。
○黒外套に黒プラトークの女が三四人居る。
――何をして居るんでしょう。
――七時から開くバターを買いに来て居るんだろう。
十一月二十四日
○三日ばかり前、急に雪が降った。浅いその雪が凍って、ヴル※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ールの青草の根にのこる。