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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

四月十二日

仮装のときそれになれば間違なし。

○Yエセントキー〔鉱泉水の名〕をかう。

○大体工合よろし。外へ出て空気をすったら体軽く軽くなった。

四月十二日

昨夜二時頃から一息に眠り、ふと目がさめた。Y、カンバスの上でごそごそやって居る。まだ目ざましが鳴らぬから鳴ったら起きようと思って居ると、Yも、

何時だ?

時計を見、

――十時か、まだ一時間ある。

――鳴ったら起きようと思って居たの。

――起きなさい、べこちゃん、朝は早い方がいい。

自分先へ起き、Yあとへ入って、足の先の出ぬ bed の快感を味った。

食後、Yパスポートの為に大使館へ行く。自分 Flat のベンチにかけて日向ぼっこ。一時間ばかり風にふかれ、日に照らされ、雪解の水が光るのや、空気のごとく軽く、丸い子供たちを見て居たら、室へかえってつかれが出、眠くなってしまった。これを書いて居る間もねむい、ねむい。

○Y、写真をとってくれた。

○自分はYを。

Y、『戦争と平和』の插画入りの本をべこにくれるということになった。

○野上さんよりの手紙、Y宛。

自分の病気のこと、英男の死のことその他。居ないと我々のありがたみがわかったから、かえったら御馳走もして御きげんをとるというのは結構だ。