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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

四月三十日

○まだ芽ぐんだばかりで葉のない早春の樹、林。

○小舎の間に林立した蚕のような印象を与える白樺の林。

四月三十日

目がさめて卓子の上を見ると、これはおどろいた。塵埃で真白になって居る。迚もレモンなしではやり切れず、車掌に貰う。

ネゴレーロイ八時三十分。荷物何でもなかった。ただ縦棒2本の$があるので、七留何哥か保留された。

それからストルプセまで四十分。十五分も走るとポーランドとロシアの国境に小駅がぽつんと野の中にある。

標識:縦長方形の上が三角、白地に赤の斜め縞。の標が立って、林の中に物見あり。

野原の中に逆もぎつきの木柵(針金つき)が延々と連って居る。その外の村路に沿うて又うねうね柵あり、あっちこっちにいろんな木の「凹」の上下反転形のものが立って居て、これが国境かと可笑し。子供がこっちからここまでは自分の分と棒を立てて居る感じだ。

○ストルプセの駅。小さい。その辺――プラットフォームを歩いて居る兵士や赤帽の帽子の形、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のプラウダ紙上のマンガでよく見た四角の凹んだようなの。小ぢんまりして、首や腰がよくかがむ。資本国の「礼儀」