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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
よう遊びに来てくれた」
「ようも、参りません」
「大層、気色ばんじょるが、どげえかしたのかね?」
「吉田親分さんに、話があって参りました。ちょっと、起きて下さいませんか」
「どげな話か知らんが、くたびれちょるけ、これで、こらえてくれ。話次第じゃあ、起きんこともないが……」
「それでは、そのまま、聞いて下さい」
金五郎は、激昂して来る胸の虫をおさえて、ぐっと、生唾をのみこんだ。
「森新之助は、半死半生になって病院にかつぎこまれました」
「へえ、そりゃ、また。……いったい、どげえしたとな?」
「袋叩きに逢うたからです」
「誰に?」
金五郎は、白を切る吉田の顔を、槍の絆で睨みつけて、
「親分さんが、それを、わたしに聞きなさるとですか」
「知らんことは、聞かにゃわからんよ」
そうさりげなくいったが、吉田は、なにかに気づいた様子で、「おツタ、ちょっと待て」と、女の按摩の手をとめると、むっくりと、起きあがった。茶襟のついた銘仙の丹前を着ている。
「玉井君」
と、あらたまった語調で、吉田はいった。
「はあ……?」
「わかった。君は、なんか、勘ちがいしとる。森君が怪我したのを、おれが指図したと思うとるんじゃな。