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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
その石炭が、汽車や、川舟で、洞海湾に出る。若松港に入っとる汽車や、帆船に積みこまれて、上方の方に送られる。その積みこみを請けあうとるのが、親分さんたち。……ほら、あそこの大庭春吉親分、田中光徳親分、そんな親分衆が、請負師で、聯合組というのを作っていなさるんじゃ」
「金五郎さんは、その子分なの?」
「いんや、子分の子分です。聯合組に、何人か、小頭ちゅうのが居る。まあ、下請けみたいなもんじゃな。自分で、仲仕を抱えて、伝馬船、その他、道具一切を持って、現場の仕事をやるんです。……あそこに、女の膝で寝とる人が、小頭の永田杢次さん、わたしの親方じゃ。……向こうで、ステテコ踊っとるのが、小頭の安藤親分……」
「金五郎さんも、いずれは、立派な親分さんになるのね」
「とんでもない」
金五郎は、しだいに、呂律が怪しくなって来た。
一座は、男と女と入りみだれる乱戦になっていて、金五郎とお京とが、さしつさされつしながら、親しげに話している姿など、格別に、目立ちはしない。誰一人、注意する者もない。それどころか、痴呆的な頽廃の雰囲気は、夜が更けるとともに、さらに、濃密になる。
甘い言葉で、巧妙に盃をさすお京の酌で、金五郎は、酔眼朦朧となった。