轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
金五郎の方は、左腕の彫青を眺めなおしながら、
(この龍が、前肢につかんでいる菊の花束、それが、マンであることを、お京は知らん)
そう思って、秘密の持つ、なんとなしの楽しさに浸っていた。
「金五郎さん」
「あん?」
「どうしても、いや?」
「女房に、相談してみる」
「馬鹿」
金五郎は、立ちあがった。
「帰るの?」
「うん」
「帰すもんかね。もし、金五郎さんが、彫青の約束を守らないなら、街中、いいふらしてやるわ。――玉井金五郎、って、このごろ売りだしかけてるけど、あれは、ほんとうは、嘘つきの、卑怯者の、男らしくない三ン下奴だ。……って」
「仕方ないよ」
「金五郎さん、待って。……そんなこというなら、殺してやる、殺して、彫青してやる」
お京は、金五郎に躍りかかった。
マンは、台所に、提灯を点した。「井上金物商」から買って来た新しい鉄の三升釜を、井戸端で、洗って、磨いた。湯をわかして置き、糠を藁タワシで、ゴシゴシ、こすりつけると、きれいに、垢と錆とが落ちる。
猫が、マンの手つきを、ものうげな眼つきで、眺めている。
柱時計が、チン、チン、チンと、鳴りはじめた。手を休めて数えると、十一、打った。