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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

今度ノ喧嘩ノ仲裁シタ恩ヲ、仇デ返ストハ、ドウイウ考エジヤ。

――イイエ、ワタシハ何モ知リマセン。

新サンハ、ビックリシテ、ベン解シマシタケレドモ、友田サンハ聞キマセン。ソレデモ、

――マア、今夜ハ、ガマンシテヤル。明日ノ晩、オ京ヲ世話セナンダラ、考エガアル。

ソウイウテ、帰リマシタ。

オマンサン、

金五郎サント、オ京サントヲ切リハナスニハ、モウ、アナタノ力ヲ借ル外、ナイノデス。アナタノイウ事ナラ、金五郎サンモ、キット、聞クデシヨウ。オ京サント別レサセテ下サイ。頼ミマス。オ願イシマス」

マンは、まるで噴火山のようである。

君香の手紙を読み終えるまで、青くなったり、赤くなったり、眼を白黒させたり、息を蒸気のように吹きだしたり、肩を大波打たせたり、幾度か、眼まいをおぼえて倒れそうになったりした。

手紙を、帯の間につっこみ、また、ゴシゴシと、三升釜を磨いた。腹が立つことがあると、一層、やたらに仕事がしたくなるのは、マンの癖であったが、今や、嫉妬の鬼と化したマンの、総身の力をこめた手で、釜は、ピカピカと、美しく磨きだされた。

(畜生)

はげしい怒りに燃えながら、ぽろぽろと、涙が流れた。