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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

七番目は死産であった。

長女文子は、鉄道に出ている前田正彦に嫁がせた。

次男政雄は、熊本五高を出て、東大法科、在学中。春休みには帰省していたが、上京して行った。

三女秀子は、女学校を卒業後、家事の手伝いをしている。

その下の繁子と里美とが、女学校、千博が小学校五年、この三人のために、マンは弁当をこしらえるのだが、今朝は、千博が熱を出して寝ているので、二人の娘の分だけでよかった。

「お母さん、千博ちゃんはどんな?」

繁子も、里美も、食事をしながら、心配顔である。

「心配なこたない。ババンがついとるけ、安心して、学校に行きなさい」

ヨネが、答えた。

「行って参りまあす」

姉妹が揃って行ってから、家の者の食事になる。

健啖で、味噌汁好きの金五郎は、毎朝、四杯は平らげるのが常だった。

「馬鹿の三杯汁――ちゅうけ、四杯、吸うんじゃ」

そういって、笑う。

食卓を囲んで、金五郎、マン、勝則、秀子、ババン、女中の六人。ババンが、千博のために、お粥を炊き、好きな卵焼きを添えて、奥の部屋へ持って行く。

「勝則」

「はい」

「今夜、お前も出てくれな。聯合組で、三菱を招待することになっちょる。