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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
などと、酔いにまかせて、そんな極端な罵詈讒謗をするのだった。
歌やら、踊りやら、乱痴気騒ぎの最中に、コヨが、また、金五郎を呼びだしに来た。
廊下に、出た。
「心中したかね?」
「ひょっと、思いつめて、間違いでも起しちゃならんと思うて、わたしゃ、必死で、二人の跡をつけて行きましたばい。外は霧が探うて、幸い、こっちも見つけられんでよかったけんど、向こうの姿もどうかすると、見うしない勝ちでしてなあ。えらい霧ですよ。滅多にこんなことはないとじゃが、五月に入ってからの雨模様のためでしょうかなあ。五間と先は見えりゃせん。二人はならんだまま、一言も口をきかんで、幽霊のごと、歩いて行くとです。どんどん、海の方へ……」
ただ、無言で、ぐるぐる街を歩く勝則と光丸とを尾行するコヨは、神経が疲れた。霧は深いけれども、最後まで発見されずにいるということは困難だ。ことに、小柄なコヨは、チョコチョコと歩くので、下駄の音が必要以上にひびく。探偵するため、あわてて飛びだしたので、音のしない草履をはくことまで考えおよばなかった。後悔したけれども追っつかない。それでも、苦心して隠れながら、二人の跡をつけた。