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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
幕が開くと、いくらか、静かになる。舞台に、観衆の眼が向く。しかし、ときどき、野卑な弥次が飛んで、劇場内に、どっと、笑い声がみなぎった。
プログラムは、次々に、進んだ。
二階の中央からやや左寄りに、聯合組が陣取っていた。共働組は、階下の右桟敷。この、なんでもないような席割りも、森新之助の苦心の考慮にもとづいたもので、階下から階上へはなにも出来ないけれども、階上から階下へなら、やろうと思えばどんなことでも出来るからであった。
大庭春吉を囲んで、金五郎、マン、勝則がいた。
聯合組とならんで、「中立聯盟」と称されている中立団の連中。井上安五郎、原田雲井、中村勉、児島卯太郎、その他。
「吉田磯吉親分は、まだ、議会が終らんけん、東京から帰っとらんと見えるなあ」
岡部亭蔵、友田喜造、長富紋太、栗田銀五、藤野清次、など、吉田一家の錚々たる親分連中のたむろしている階下を見下しながら、原田雲井がいった。
「ばって」と、苦笑に似た、警戒的な表情をたたえて、「どこに居ったところで、本部から、物騒な命令を発するとじゃけん、居ると同じこったい」
民政党は、別に、かたまってはいなかった。