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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
玉井君、光丸は僕のれっきとした女房ですよ。不見転芸者と、他人の細君との見さかいくらいはつけて貰いたいもんだねえ。君は、一体、光丸とどんな関係なんだ?」
「どんな関係でもありません」
「お客と芸者とだけの関係なら、仕方はないさ。が、もう、光丸を呼んで貰いたくないな」
「呼びません」
「きれいに、手を引いてくれたまえ」
「引きます」
「君は早稲田ということだが、まさか、僕と早慶戦をやるつもりじゃあるまいね。恋愛と野球と混同してくれちゃあ、大迷惑だ。それとも、早慶戦、やってみるか、どっちが勝つか、負けるか?……」
「負けました」
勝則がはげしく抵抗して来るものとばかり思っていた要之助は、案外の弱腰に、いくらか、張りあい抜けがした模様だった。しかし、それも、自分の攻撃のすさまじさと、用心棒の威力とに、相手が屈服したものと信じ、すこぶる満足したらしい。にやけた青白い顔に、露骨に、勝利者のほくそ笑みを浮かべた。
腕まくりしていた遊人の一人が、
「ふン、親父も弱虫じゃが、息子も似たような腰抜けじゃなあ」
と、せせら笑った。
「失礼します」
勝則が行きかけると、のっぽの男が、「待て」