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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
金五郎が白を持っているけれども、どちらもザル碁だ。ほとんど考えることをせず、まるで、機械のように、交互に石を打ち下す。マンが、いつも、「餅つき碁」といって笑う。大石も好きなので、仏頂面のまま、にじり寄って来て、のぞきこんだ。
玄関で、自転車のベルの音がした。号外のように、振鈴を鳴らしている。
源十が、出て行った。面白くもなさそうな顔付で、紙片を握って、帰って来た。
「オヤジ、四票、出ましたよ」
「そうか」
金五郎は、ふりむかず、碁盤のうえを見ていた。
マンが、入って来た。
「やれやれ、よかったわ。誰もかれも落ちて、これで、もう懲りて、今度から、選挙なんで止めるじゃろうけん」
茶を入れながら、笑った。
夕刻、すっかり日が暮れてから、開票が終った。
民政党は、十七名、立候補者、全員当選、最高点は、三五八票。政友会は、七名。中立聯盟は、六名。計、三十名。社会民衆党は、二人とも落選した。当選の最後尾は、政友会の楠野太一郎、一五二票。その次が、玉井金五郎、一六〇票。井上安五郎一六八票。政友会の久野惣吉、一七八票の順。ビリから、二番、三番ではあるが、ともかく、「ゴロゴロ」