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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

……という風に、友田の子分連中から、脅迫されとるらしいですよ。どうしても、結束が出来ません」

勝則は、沈痛な顔をした。

「昔から、同じ流儀じゃ。小頭の足なみも乱れて来た。……どげしたら、ええか……?」

金五郎は、腕組みして、絶望的な表情を浮かべた。大抵のことにはへこたれぬのであるが、この問題には、頭が疼く。

(友田喜造が、話してわかるような男なら、ええとじゃが、……)

談合ということが、絶対不可能であることは、長い経験で、いやというほど、身にしみている。どんな話しあいをしてみても、けっして実行しないし、寝返りを打って、相手をおとしいれてしまう。その苦杯を幾度なめたか知れない。

マンは、相かわらず、いても立っても居られないほど、はがゆくてならぬ様子だ。

「お父さん、あれよ、ストライキ、思いきって、ストライキをやんなさい。そうせにゃ、片づきゃせん」

自分が采配でも振りたげに、いらだつ語調でいうのだった。

「おれも、それを考えんことはない。勝則とも話しとる。……じゃけど、それは、藪蛇の危険がある。もし、共働組が抜けたら、……いや、かならず裏切る。……そしたら、今度こそ、洗いざらい、根こそぎ、港中の仕事は、友田一派に取られてしまう。