轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
春雪写山行「旅」1940(昭和15)年4月<br>黒部川峡谷の話「山岳 第十二年第一号」1918(大正7)年2月<br>枯木の美と怪「国立公園」1952(昭和27)年3月<br>雪山と廃道「山 二巻二号」1935(昭和10)年2月<br>七面山冬ごもりの記「山小屋」1947(昭和22)年<br>黒部川初遡行の追憶「山と渓谷」1939(昭和14)年7月<br>大雪山あれこれ「国立公園」1955(昭和30)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 页
それがここに言う雪の幻像であって、民俗学の言葉では雪形と呼ぶ。そういうものが、雪深い山国にはたくさんあって、今日まで語り継がれているのは、誠に意味深いことだ。
いったい農事というものは、豊凶の運命を、大部分天候に左右されるのだから、殊にその着手は大事である。そのため太陰暦が用いられたが、文字に書かれた暦は、どこにも通用するかわり、山間の局地々々には、必ずしも的確な指標とはなり難いうらみもある。そこへ行くと、この雪形はその土地、その年の季節の推移を端的に示すのだから、これほど頼りになるものはなかろう。いわば生きた暦、あるいは誂えの暦である。その指示に従って、春の農耕を始めたり、また進めて行けば、まず心安らかに収穫を期待できるというもので、そこにこの幻像発生の原因と意義があり、長い年代に伝承されて来た理由もあるわけだ。また一方、美の観点からも、これは見のがすことの出来ない題材なのである。
ところで現今は、農業技術が著しく改良され、気象の通告も精密、敏速を加えているので、この幻像に頼る度あいは以前より大分薄らいだことは事実で、伝承もだんだん弱まって行く傾向が認められる。