轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
山の人生「アサヒグラフ 第四巻第二号~第五巻第七号」朝日新聞社、1925(大正14)年1月7日~8月12日<br>山人考「大正六年日本歴史地理学会大会講演手稿」1917(大正6)年11月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,022 字 · 226 页
私は耳が早くて怖い噂をたくさんに記憶している児童であった。七つの歳であったが、筋向いの家に湯に招かれて、秋の夜の八時過ぎ、母より一足さきにその家の戸口を出ると、不意に頬冠りをした屈強な男が、横合から出てきて私を引抱え、とっとっと走る。怖しさの行止まりで、声を立てるだけの力もなかった。それが私の門までくると、くぐり戸の脇に私をおろして、すぐに見えなくなったのである。もちろん近所の青年の悪戯で、のちにはおおよそ心当りもついたが、その男は私の母が怒るのを恐れてか、断じて知らぬとどこまでも主張して、結局その事件は不可思議に終った。宅ではとにかく大問題であった。多分私の眼の色がこの刺戟のために、すっかり変っていたからであろうと想像する。
それからまた三四年の後、母と弟二人と茸狩に行ったことがある。遠くから常に見ている小山であったが、山の向うの谷に暗い淋しい池があって、しばらくその岸へ下りて休んだ。夕日になってから再び茸をさがしながら、同じ山を越えて元登った方の山の口へきたと思ったら、どんな風にあるいたものか、またまた同じ淋しい池の岸へ戻ってきてしまったのである。