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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
三月二十七日
左側、一軒は大勢の男が机を並べて居る。その先の一軒、淋しく一人きり。そこを選ぶ。そして、書式だけを(離婚届)書かせる。二十銭也、二十銭、ホウ、二十銭で、この紙ペラで、法律上、私は永劫彼の妻でなくなるのか。小石川局からスケッチを送り出す。
〔欄外に〕
エッケルマン「メヒストフェレスにも悪霊的なところがありはしませんか」
ゲーテ「ない。メヒストフェレスはあまり消極的である。しかし悪霊は全然積極的な活動力の中に顕われる」
三月二十七日(金曜)
多分午後三時と思いゆく。丁度式の始ったところであった。両親、大瀧親子、倉知、春江、俊夫、緑郎、私、下島、倉知の連中は食事をしてゆく。食後、cross word のことで皆楽しむ。
母上、西洋間に居、私の『改造』に出したものについて、彼此云われ、父上まで一緒に怒って少し不合理なことを云われた。情けなし。
母、どれ程澄子が憎いのか、私に気に入らないところがあると、澄子を引合いに出される。恐ろしい程だ。天の心から見たら、一人の人間にあれ程憎悪をもって居ると云うこと丈も余り祝福はされまい。Kと、三時頃までHの態度について話す。