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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

四月八日

四月九日

昨夜から、この次の仕事の順を立てるために日記を見て居る。

一九二〇年からのを。それからその次の年にかけて。心の変りかたがよくわかる。苦しんで居たのだな。実に。あの時分の沢山の涙を思い出す。情けなし。この頃のような生活さえ人生にはあるのに。――絶えず岩に打つかって居る波のように切ない、不満な生活であった。今、私は生活を一緒にするものとして、Yの心持にいろいろ人としての欠点は認めるが、興味の一致、理解し得るよろこび、心を偽らないのびやかさは充分もつ。その点幸福を感じて居る。

〔欄外に〕

秋庭俊彦氏来。眼、鼻から頬にかけて深いたて皺がぐっとあり、暗い、暗い感じの人。Yの母違いの弟上京。Y「私の父の息子が来るそうだ」

四月八日(水曜)

平田善行氏に久しくたのまれて居た原稿六枚送る。

いやな、いやな天気なり。低気アツ。私は頭がからりとせず目がまわりそうに不快だ。

四月九日(木曜)

昨夜の雨から打って変ったさむさ。Y、アンドレーエフをやる。自分次の仕事の下拵を殆ど終る。

よい月。硝子戸をとおし、部屋に流れる光。日記をつけようとして見たら満月とある。成程!

この間築地小劇場に行ったとき、「皇帝ジョーンス」