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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

六月二十三日

六月二十四日

六月二十五日

六月二十三日(火曜)

Yと歌舞伎座、余り面白くなし。

孤城落月も大したものではなし。

岡本さん来られた由。

六月二十四日(水曜)

岩波で原稿紙を買い、丸善により、岡本さんのところにゆく。よろこばれ、引きとめられ生田花世氏に会う。いそいでかえったが八時。Y、ひとりぽつねんと、茶の間の柱によりかかって何かよみよみ待って居た。すまなく思った。Y、おこり、食事の間もおこり、怒りつづける。折角一緒に夕飯をゆっくりうまくたべようと思って居たのにと。涙を出して怒る。怒ったのが本当なり。自分はそのときこそ少し憤りすぎると思ったが、怒られる心持を思うとうれし。有難し。モヤー、ミーラヤ、ドロガーヤ!〔私の愛しい人よ!〕

六月二十五日(木曜)

午後一時の急行で安積に来る。祖母上御埋骨式の準備なり。母上、自分、スエ子。

いつもなら、郡山を出はずれて、貯水池辺にかかると、晴々と爽やかになり、うれしさが湧くのに、消沈し侘し。妙だ。去年、Yと二人で歩いたり、Aが辛い心持で往復したことなどがはっきり思い出されるからか?

すぐYへ手紙を書き、昌子にたのんでやる、あした出すように。――Yとはなれると俄に話し対手のない寂しさ、もの足りなさを感ず。