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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
七月五日
七月六日
ホウ、聴えると大騒ぎ。
七月五日(日曜)曇
野上さんに誘われたお能の日。桜間金太郎が杜若をやる。Y行きたがらず、山内封介が来るというので、私だけゆく。丁度杜若のシテの出のところ。場所は、野上さんのところの方が、道成寺の時のよりよく、橋がかりが美しく見えた。杜若は、絵画的美。道成寺はよほど意志的であった。狂言附子を後一つ見てかえる。山内氏夕刻来。good nature な人だが、いかにも協和性にとんだ神経をもって居る。例えば労農ロシアでは、政治に対する不平など一言も云ってはいけないという、そういう不自由さを私共は堪えがたく思うが、彼は、郷に入っては郷にしたがえと安に暮すが如く。
〔欄外に〕
明月谷の家いよいよかりることとなった。半永久で三十五円。Yの家なり。Y、自分の家というものが欲しいと云ってここを見つけたのだ。自分の家――自分の家。Yの家はカマクラに置き私は東京にアパアトメントでもかりて、二つにする――一緒に動くのだが。
そういう計画が出来た。
七月六日(月曜)
ひる頃ハイシャに出かけようとして居ると国男来、林町に忘れて来た手袋をもって来てくれた。ひる食前という。