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にっき

日記

宮本 百合子

11 一九二五年(大正十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页

青空文庫

七月九日

七月十日

夕刻、雷雨。ぐっと涼しくなる。Yとコウザンで食事、買物を一寸して。十二時少し前にかえる。

七月九日(木曜)晴

Y、会の締切がのこって居たので会により、自分キタと三越、山本に廻ってステーションにゆく。一時四十五分で来る。大船は赤帽一人、而もその赤帽は、客が手招きしても物ぐさに見ない振でのたのたして居るという呑気な駅、俥やも亦、お喋りで滑稽、明月谷は大船から小一里単調な田舎道、円覚寺から先がやっと鎌倉らしい。

家は葺ぶき、掃除してなくひどし。松田竹の嶋人を訪ぬ。熊本の男、ホラふき、親分気ドリ、大きな鼻、沢山の深くない趣味、このまない男の部だ。細君粋がった口のききよう、その他。とにかく、親切に世話をしてくれ、泊れるようになった。

〔欄外に〕

庭に小さい花壇アリ、横手は、梅が三本ある三十坪以上の空地、裏は山で岩やあり。間どり八・六・二・三・二(この二畳は物置にしかつかえず)自分は玄関の二畳が部屋。

七月十日(金曜)雨

梅雨的にふりくらす。八畳の方に七輪を入れ空気をかわかす。自分は仕事が心がかりだが机もないので仕方なし。

安積などの田舎になると、東京からすっかりはなれるので、落付くが、この辺だといつも東京に心をひかれるようで却って落付かない。