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にっき
日記
宮本 百合子
11 一九二五年(大正十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,462 字 · 72 页
十一月四日
十一月五日
「うん、皆以下や」
「なんや、だれ以下や、うるさいな」
の如く。
〔欄外に〕
Y、秀雄が来一寸酒の勢ではしゃぎすぎると翌日少し機嫌わるし。リアクショナル。
十一月四日(水曜)
『女性』のために小説、「小村淡彩」を三十四枚書き終る。
庭に、野ばなしの菊あり、もと、懸崖であったと見え、横たおしになり乍ら蕾がついて居たが、愛らしい花を開かせた。秋の風情あってよろし。
ひるに、秋刀魚をたべたら、腸に、赤い虫が居た。Y、紅屋に薬をかいにやりのむ。下ザイ。心地わるいこと(はらの)限なし。夜眠れず。いろいろ空想する。この頃自分頻りに国男の子供が生れるのを待って居る。自分のところに、小さい子をとめるベッドやおもちゃをそなえてやりたいなどと。一寸テーマになる感情だ。
十一月五日(木曜)晴
よく晴れた日。昨夜よく眠らず、六時頃アダリンをのんだので、おきたのは十二時。腹工合ひどくわるかったので、いやな夢を見た。
父上が、腹部の痛みで、もう死なれるかもしれないという。自分悲しく、悲しく、実にリアルにその悲痛を感じ、敷居に額をこすりつけて泣いた。おきて、ああ夢であってよかった、と云った。