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にっき

日記

宮本 百合子

12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页

青空文庫

三月五日

三月六日

つまり会の仕事を自分が馬鹿にしながらやって居るのはよくないからというつもり。

私は、どっちでもよい。Yが一生に一度、ああ力一杯やった! と私が仕事をすましたときのようなあの浄められさっぱりした感じを味えばよいと思う。

三月五日(金曜)

今日で歎きのピエロなくなるというので、Yと銀座シネマにゆく。ピエロよろし。筋は甘いが。サーカスをとるところ、鈴をふり、太鼓をたたき、人々が笑いどよめき、舞台の上では、雑多な人間が、動き廻る。まるで感覚的で立体的で、短篇小説――都会の一瞬に、千も万も、タテヨコ、入り混る印象を主としたようなもの――は、こんなテクニックで書くとよいな、と思う。近頃よい見ものであった。

新橋演舞場へ行って中井さん、アミノさんに会い、三人で又歩き、中井さんを有楽町まで送って尾張町からタクシーでかえる。

三月六日(土曜)

昨夜歩いたの、Yによくなかった。

不快、臥床。

とにかく、家があるのは重荷とY云う。二人でも女中なしではやってゆけず、その為いろいろな不便があるからと。老松館はどうだろう。あすこならきっと落付ける。行って見て来てくれない? 行って見る。