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にっき

日記

宮本 百合子

12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页

青空文庫

一月一日

一月五日

一月八日

一月一日(金曜)晴

昨夜おそいので眠し。然し、今年からは九時起床の約束だから先ず起きる。女中が晴着を着て居るから、まあ正月という気がするが、大して元旦らしくもなし。まねのおとそ。雑煮、それでも色彩だけは仰山な口とりもつけて出した。起きたときは曇って居たがやがてよい元旦となる。小さい一人の男の子「新年おめでとう」「おやすみなさい」と教わったばかりと見えいく度もくりかえして居る声す。温泉宿での元朝は生れて始めての経験であった。年賀のハガキ。自分アドレスが分らずこまるところ沢山、わかって居るのにだけ出した。

一月五日(火曜)雨 寒

今日は仕事にて、モヤ一人放ぽり出し。

退屈まぎれに、しきりに方角を日記でしらべ、やっと甲乙丙丁庚辛壬癸を発見した。

一月八日(金曜)

帰京。天気でよかった。汽車の中に、角力や義太夫をひいきにする大男、とりまきを多勢つれて、修善寺から乗る。

ああいう種類の男を見面白かった。

他に、男妾のようなものをつれた醜い、人の好い、情の厚そうな三十五ばかりの女など。

吉奈の東府やの主人、駅前の、舟橋がこわくて、自動車を降りたのは可笑し。ゴーゴリ的人格。