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にっき
日記
宮本 百合子
12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页
二月四日
二月五日
二月四日(木曜)晴
「妙ね父様、あっちに居たときはそうも思わなかったが、此那雪、何だか貧弱でいやね」自分本をよんで居る。父上、一寸武藤山治の『実業読本』をよみ、「さあ、少し御話を致しましょうか」自分、ひどいホームシックで堪らず。Yのことを思うと殆ど切なし。まあ今夜一晩の我慢だ、我慢! 我慢! と思う。
父上との旅行楽しく、竹中氏に、実に珍らしいお二方です、世間に滅多にない、と云われた程よい旅の道づれではあったが、自分にはそれだけでは欠けたものあり、Y! Y! と思う。切な心持。K上野に迎に出て居る。母上の口上「きのう国府津から帰ってつかれて居りますから上りません」上りません、珍しい改まりようだと大笑い。かえると髪しあげ。父上少しぐずついて居ると「あなた、もうあっちへいらっしゃい」愉快、又笑う。
二月五日(金曜)晴
朝早く起き、胸をドキドキさせ乍ら小石川にかえった。ダラ寝でYはかえって居ると思ったから。門あかず。俥夫をまたせ、山岡にゆく。鍵なし。仕方なく俥夫をかえし、トランクを納屋に放りこんで山岡にゆく。十一時すぎ。三人でソバを食う。タイムテーブルを見るとあとは八時半九時半なり。