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にっき
日記
宮本 百合子
12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页
八月十九日
八月二十五日
八月二十九日
暑気甚しく、汽車にのって居て、ウスイにかかるまで、気がボーとなる位なり。
八月十九日(木曜)
夜、赤倉からかえる。
八月二十五日(水曜)
赤倉ゆく前後から、ドストイェフスキーの「白痴」をよみ、白痴、ラゴージン、ナターシャ、将軍夫人、コーリヤ、アグラーヤなどの性格、あのように描く――いや、捕え感じ得るユニークな作者の力をひどく感じた。病的なほど鋭い。グレコの画のように歪み震え、赫燿たる美の光に貫かれて居る。彼の天才の直接法な、いやに真髄的な、こまかく深く無限に深く美に震える力を、羨望すること切だ。彼は感覚に於てトルストイより比較にならぬ近代人だ。近代人の捕え難い神経の震え、生存のなやみの一面を、ドストイェフスキーは活々と涙をこぼさせるほどに描き得よう。
八月二十九日(日曜)
ハムスン、シャロー・ソイルをよむ。大した作品ではないが、或種の所謂芸術家というものに対する鋭い批判がある点注目に価する。ハムスンが芸術並、芸術家というものにどういうメリットを置いて居るか、彼が理想家であることなどわかる。
生馬の「葡萄圃の中」をよむ。こんどの仕事の参考として。
この頃運動不足を感じ、夕方散歩したいしたい心持になった。