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にっき
日記
宮本 百合子
12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页
九月四日
長く長く。返事が来た。Y、さきに起き、よみ、「野上さんから手紙が来てるよ」「そうお、何て」「不愉快な手紙だ」なるほど、さっぱり朗かでない。何かある。何があるのだろう。――然し何故、皆が、まあとるに足りない。伊藤にしろ、林町mにしろ、野上さんにしろ、長年の友達だのにYの心持のしんを理解し、又理解したら好意をもたないのだろう。――勿論Y、野上さんにはかなり皮肉な心持も抱いて居る。それが反射するのか。湯浅さんに云って下さい。
九月四日(土曜)
ひどいひどい。こんな大暴風雨には久しく会わなかった。
雨がふき込む。雨戸をしめたにつれて、子供の時分、荒れた日、縁側の雨戸が少しずつすかして閉められ、すき間からふきこんだシブキで廊下がぬれ、よく辷れたこと。
一年にもっと度々大洪水があったような気がすること。こわく面白く、大きな声を出して亢奮したことなどいろいろ思い出した。
Y、「ジャングル・ブック」をよむ。自分よまなかった Kaa's Hunting などよむ。面白し。日本にこのような作家がせめて一人あってもよいと思う。ヨーロッパの豊富さ、一方にこのような物語の書ける作家があり、サイコアナリシスの作家あり、モーランあり等。