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にっき

日記

宮本 百合子

12 一九二六年(大正十五年・昭和元年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 25,679 字 · 52 页

青空文庫

三月十七日

三月十八日

生活の力がどんなに強い不可抗なものか、生存の恐ろしさ、かなしさ、人間のそういうものに対する生きものとしての従順さ。道徳的であって誰にも説教せず、肉慾を明るく美しく悲しく見るところ、よし。彼の温い平静なきどらない心は、独特だ。

三月十七日(水曜)風つよし

この二三日八時前後に起床。日が永くゆっくり出来てよし。但、眠る時間を早くせねばならないのは辛し。とし子居ず。

自分で食事その他をやると、下宿へゆきたくなる。ただ下宿で、この家に居るような落付きが得られるや否や不安ではあるが。

夜、ソシオロジーをよむ。伊藤綾子来。

Yと仕事の話をし、京都並、祇園の生活をこれまでのどの人が描いたのとも違う書きぶり、見かたで書いたらさぞ面白かろうということを話す。Yはいろいろのことを知って居るから先導して貰って。

〔欄外に〕

『婦人公論』安成二郎が原アサヲのことを書いた、「恋の見合」。

面白く心持よくよんだ。彼としてよい作と思う。弱くて小さい原に対する男の、よい愛があらわれて居る。その妙な小ささなどが。

彼女の周囲に男を引つけ、同時に彼女を不幸にもするのだと思う。

三月十八日(木曜)