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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

がそれは水くさいじゃないか、と云って怒って居る。

そう――自分そういうところがあるな。(Yは親切が足りぬという。YはYに対してそれは親切が足りぬというが、Y自身はどうか。

よく自分にあんな奴は云々といい加減多く人を片づけてしまうではないか)

自分親切が足りぬというより何か、例えば伊藤綾子の場合など、Yと自分と生れつきの感じかたが違うことを痛感し、何かその点、Yと自分とは別な存在○○だと感じるのだ。Yはその箇々の対手に向ってここの measure をもって居る。この人間にこの位でよい。この人間にはあの位と。その measure が、しかし客観的でない。或時気に入らねばせぬ。気に入るとする。それなら私のように、そのものに対して、自分が気のすむという程度――限度――それまでやったらよいのではないか。どうせ客観的でないなら。

客観的である場合もYにはある。その条件は多く具体的標準のつく場合。Yは親切だ。が、何だかひろく私的で、何だかYに特殊のアッタッチメント(心の上の)がないとYから親切を期待するのが困難のような普遍性欠乏がある。

まして、Y、この頃のような状態で、私に腹を立てると、大して、よい怒りかたもしないのだ。