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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
自分夕飯をたべ始め、Yにもお茶をのまし段々気分がなおった。
Y、今日は宿の細君と私の分も部屋をかりることを話し、400р と云ったのはザピースカ通りだが、400р 出せない何とかほかにすると云ったら、では食事はうちでさせることは出来ない(先私がやって居たように)と云ったのだそうだ。そして今の自分には絶対に家庭の食事が必要なのだ。――出かける前で立ったまんま話して居たら、変に悲しくなって涙が出て来るのさ。変な声は出るし、階子段のところで涙をふいたが、あとからあとから出て、外へ出られなかった。
それから油橋さんのところへ行って、今日は泣いて来たっていうわけさ
Y、そう云いながらも涙をこぼした。Y、油橋さんの空部屋へ一時でも私を入れるしかないと思って相談して来たのだそうだ。
――あなたのこれまでの真実が何にもならないって云ったのさ、かみさんに、
――困るときには困るようになるもんなのね
Yが変に情けなくなってと云う心地、自分にはっきりうつった。
「旅にやんで夢は枯野をかけめぐる」
――自分たちには困ったって金がある。今その十円さえあれば生きられるという人間が、やっぱりそういう困っために会うのよ。