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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

厚い本を包紙にやぶこうとするのだ。

――一寸お待ち

見ると、統計やその他なかなか面白い工業の本だ。

――私に売ってくれませんか

するとラフカの女は本をハカリの上へ放りのせ

――キログラム――25カペイカ

○藤さん

○油橋さん来

○布施勝治君来

藤さんの話、大使館の杉下さんがこういうことを云った。

○今に戦争はなくなる、国と国との。ただ、縦の階級戦だけのこる。

藤さんの思うのには、

これは争われない状況だ。だが自分は民族と民族とが互の民族観念をすててあらそわなくなるかどうかということは疑う。若しあなたがたが世界の大勢を達観して、もう戦わないと云って下さればあしたから兵隊をやめます。

そこで皆笑い出してしまった。宮川君、

――さあどうも戦争がへるということはたしかだが、まるでなくなるということは云えますまいね。

これは一番普通な考、藤さんのは、やっぱり餅やは餅や、餅をはなれての世界観は生ぜぬ。杉下さんの考えかた、自分面白いと思った。人間が民族という観念からのみ戦争を始め得るものか? 民族の損得がまあいい方で、つまり資本家の損得というところで愛国心、民族心をけしかけられる場合が多い。