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にっき
日記
宮本 百合子
15 一九二九年(昭和四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页
五月祭のなごりらしい。これも目についた。ワルシャワでは赤い旗など出た窓さえ一つもなかった。
Station で金をシリングにかえ、タクシーで公使館へ行く。御厨氏帰朝、加藤伝次郎氏に会い、ホテルのことなどきく。
Hotel de France より Tegettof がよかろうとのこと。公使、夫人に会う。心持よい人々だ。
独逸からツェペリンがその朝来た。丁度、公使館のテレスから見える中空を飛ぶ。公使、写真をとろうとして機械をもち出したが、二重扉をあけて居るうちに遠くへ去ってしまった。巨大な銀色に光る機械の美しさを充分に感じた。
ホテル・テゲトフ、小さい七十位しか室のない家だが静かで、中央にあってよい。bed がモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のように鉄ではない木で、近代的な単純な美をもって居るのや、湯が自由に出るのや。久しぶりで随分さっぱりした。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の生活の欠しさ、自分の愛するロシア人がいかにきたなく、不便で重く暮して居るか、ここにあるものを少しわけたい気がした。
○軽い食事をしてから、着物や Zwieback へ行く。