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にっき

日記

宮本 百合子

15 一九二九年(昭和四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,482 字 · 160 页

青空文庫

(カフェー、カフェー、これも維納の名物)

歩道に日覆いをはり出して、青い植木で区切りをしてパリー式に卓子椅子を出して居る。だがまだ寒くて人はそこに坐らぬ。

小さく店と店との間にはさまっていわば一間間口をはって居る食料品や。煙草エハガキや。

◎ウインナの tip の割は三人で頭七、給仕五、ビールはこび二の割。

(美術館の番人も一寸時間はずれだと、金を出せば見せそうにする)

○門が(ホテルでさえ)十一時すぎるとしまる。パンションの門は勿論。そして金をとる。

○決してやすくない物価。

○女中、一シル50の髪を結って一シル位おいて来る。同じ家の門番に40grずつ出す。

○この労働住宅を見に行ったら、案内役エハガキを出して売り、その辺の子供までエハガキを出して売りつけた。このウイン気質。

◎ウインは三億の入超だが、その位の金は外国人がまいて行く。

◎ウインの劇場、コメディー、通俗物、笑劇、オペレットが8/10をしめて居る。

◎陶器店を見ると一寸奇麗なものがあるが、模様は花で、ロココを脱せず。幾何模様など一つも見ない。その柔らかさ! 古さ!

◎リヒテンシュタインに木曜日に行ったら、五シル入場券をとると云ったのでかえって来た。