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にっき

日記

宮本 百合子

04 一九一七年(大正六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页

青空文庫

二月十二日

二月十三日

うまく書かれて居ると云うことはたしかなことである。今年になって、今日位、興奮したことはないと同時に、去年は自分になかった心持が今はあることを感じて居る。それは、私にとって恐るべきものであり、同時に堪らなく愛らしいものである。

二月十二日(月曜)

昨夜佐藤氏の話されたこと――人間の結局は他力に依らなければならないと云うことは、彼の方にとっては、たしかにそういうことなのかもしれないが、自分にはまだ必要を認めない。大きな宗教により得るものは幸福である。がそれは何にも必ず今まで定められて居た形式に従った宗教である必要はない。「歎異鈔」をよむ。いいものを下さった。大変面白い。これをよむと、仏教の地獄、極楽は何の用があるのかと思う。此の本の中には、随分立派な言葉がある。「すべて万の事につけて、往生には賢き思ひを見せずして、只ほれ/″\と彌陀の御恩の云々」と云う言葉には、何とも云えない心持がした。「只ほれ/″\と」「只ほれ/″\と」それが私にはむずかしい。只ほれぼれと云う境地は、今の時代の人間の味いがたいところであろう。

二月十三日(火曜)

何だかマリア館へ行き度くない気がしてしてたまらない。