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にっき
日記
宮本 百合子
04 一九一七年(大正六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页
三月二十五日
三月二十六日
自分の家がいい。早くかえりたい。顔を洗うのにまで心配して、廊下をぬらさないようになどと思う自分が気の毒になってしまう。これだけ居るとここの家の状態がどんなかと云うことがよく分って来る。どっちかと云えば不幸な者の集りである。
三月二十五日(日曜)
実にいやな一日だった。今日はどうしてもかえることにして、十二時半ので行くようにステーションに来ると、北白河までで行かないと云う、水害のためである。六時十五分のには間に合うと云うので、それまで、活動を見る。きたなくて、さわぎで、いやなことだった。それからステーションの上で食事をすることになったところが、耳のきこえない本田の細君が、塩ッ辛いとうてい舌のちぢんで仕舞うような親子丼をとる。おまけに間違えて一つ多く云いつける。いやだ。郡山へ着くと、大風で、俥がない。やっとさがして、来る間も、今にも引っくりかえりそうで、こわくてこわくて頭が痛くなった。家へかえったら、嬉しくておどりたいようになった。
三月二十六日(月曜)
大変風が吹く。かなり寒い。桑のかたい芽のついたのや、まだ茶色な樹木が、風に押しつけられてブーブー吼って居るのはこわいほどである。