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にっき
日記
宮本 百合子
04 一九一七年(大正六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页
六月二十二日
六月二十三日
それから湯に入る。大変心持がいい。少しぬるめなのにすっかりつかって、ぼんやり、何の刺戟もない空気に包まれて居ると、ひとりでに瞼が重いような心持になって来る。梅雨期の陰気な重苦しい気分が人々の心を圧しつけるので、皆いらいらしたような顔をして居る。
六月二十二日(金曜)
かなりひどい雨が降る。心理へ行く。今日は大分面白かった。
少し形が妙な実験、――視野計にかかるときなどでもちょいとしたたじろぎが現われるのは、女だからだろうか。
斯う云うようなときにあらそわれない女性の根本的な特徴があらわれて来るものだと思う。
かえりに川崎氏と種々話して来る。いい人なのだが一生、あああの人の一生は光栄あるものであったわいと思わせられるようなことをする人ではない。熱心すぎる、真面目すぎると云う美点の通りすぎた欠点を持って居るらしい。いい人なのだが、あまりいい感じを与える人であるまいと思うのは、あの人にとって気の毒である。
六月二十三日(土曜)
先向島に来て居た女中で房州のものを呼ぶ。種々期待して居たのに一向話してくれない。利口な、ぬけめのない女らしい。今居るところの店の若旦那が、自分の家となじみになって、房州の家と云ったとか、兄さんと云われてよろこんで居るなどと云う。