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にっき

日記

宮本 百合子

04 一九一七年(大正六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页

青空文庫

二月十四日

行けばよくないことがありそうでたまらないので、到頭止めてしまう。「先覚」をよみなおす。夏目氏の「文学論」は殆ど読み終ったが、あの人がスウィフトをあれほど論じて居られるのは、いかにもあの方らしいと云う気がする。面白いことだ。夕方、浜岡氏来訪、十一時半まで種々はなす。青年期感傷的な心持をまだかなり沢山持って居られる。苦労でよい方に賢くなって居る人だ。とにかく女の友達よりは話して面白い。各自の強さとか、趣味のこと、各自の色調的な統一などと云うことを話す。「先覚」をよむと、ルネッサンス時代をもうすこし歴史的に研究して見たくなる。面白かった時代だろう。レオナルド・ダヴィンチがヴィナスの唇を数学的に研究する心持。

二月十四日(水曜)

随分ひどい風が吹く。ほんとにひどく吹く。この頃のように乾いて居る往来をこれほどの風があおって行く様子を想像すると、戸外へ一歩もふみ出せない。喉が少しはれて居るような心持がした。

「先覚」をかなりよむ。面白い。メレジェコフスキーはどっちかと云うと、才のかった人だと云うような心持がした。夜三月の旅行の大体の計算をして見ると、切りつめて、百円はかかる。