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にっき
日記
宮本 百合子
04 一九一七年(大正六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页
七月十一日
色が少しなまなような、模様化した、強いて強調したところのあるような感じがするものであった。なのに風景で一つ貰おうと云うことにした。ゴーゴリの「死せる魂」の下をすっかりよみ切る。そして、あの中には、オブローモフ主義もあれば、モンロー主義も、人道主義も、生産主義も――いかにもロシヤ人らしいロシヤ人の描かれてあることを歓ぶ。
七月十一日(水曜)
風がそよりともなかった午前は、まるで蒸されそうな暑さであった。が、夕方から少し涼しくなって来た。いかにもすべての様子が夏らしくなっては来たが、それでも海辺に比較すると、空気の重いことはまるで驚くべきものであった。「哲学綱要」、「概論」、ト翁の「性慾論」をよむ。
大変心を打たれるようなことがあった。そして、今自分が考えて居ることは、決して間違いではなかったことをよろこぶ。
S氏、近頃はちっとも宅へ来られないも何か原因があるのだろう。ああ云う心持と、ああ云う主義をもった人は、行きぬくと、生存の否定になって来るのではあるまいか。又、よし自分は否定しないまでも、ほんとうの人生の意義は、彼の生活に一寸もとり入れられて居ないし生存しないと同様になるだろう。