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にっき
日記
宮本 百合子
04 一九一七年(大正六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页
四月十八日
はじめてミストロットと云う人に教わったが、大変に面白い人だと思う。今まで、あの位空想のつよい人を見たことは、少くとも西洋人にはなかった。少しうれしかったような心持がする。美術的な連想を持って居る人だ。鴨田さんと云う人は、独人との混血児だそうで、大変醜い。ミスボイドと、ミストロットはまるで大変に違う。帝劇、とにかく「桐一葉」は努力した作であるけれども、まだ、私には全部満足することは出来ない。私は、且元の忠義は分らない。けれども、銀之助の心持には、すっかり打たれてしまった。かげろうを妻に出来るときいてよろこぶところを見ると、まったく絶対的の殆ど法悦と云いたいほど、絶対なものである。私は非常に外のどのところよりもうたれた。外の者が笑って居るのを見たら、立って“お黙りなさい、何が可笑しい”と叫びたくなった。
四月十八日(水曜)
大変に書きたい心持がして居る。けれども、ひまがない。で、心が苦しい、が充実して来て居る。午後長谷川氏のところへ行く。バイブルの話の代りに、Letters to godson と云う宗教の意見を書いたのをよむ。かなりやさしいし、面白いとも思う。