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にっき

日記

宮本 百合子

04 一九一七年(大正六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页

青空文庫

四月三日

四月四日

おいくが来て、善義の許婚のことを話して行く。愛すべき母親である。

四月三日(火曜)

おとうさま福島の式へいらっしゃる。家に居ても仕方がないから、午後から善義さんと菊地氏の子供とで穴原の奥の方へ行く。道が泥だらけになって居て足袋がすっかり汚れてしまう。道に大きな石ころや何かがあるので荷車を引いた馬がガタガタとはね上るようにして行くのが気の毒だった。善義さんは少し陰鬱になって居たどうしたのか。菊地の子供は少し才気走りすぎて居る。スケールの小さいような子に見える。行きに角屋の玄関の前を通ったら、川を越えた彼方にあの陰気な澱み声の若者の顔が見えた。自分が愉快そうに杖を振り振り歩いて行く様子を彼は何と思って居たかと思ったら妙な心持がした。かえりごろに少し雨模様になって来る。大いそぎにいそいで宿へつくと、ザーッと降って来る。ユベが大変つかれたと見えて、ときどきころぶのを人が笑う。

四月四日(水曜)

昨夜の模様では今日は雨らしかったのに、思いのほかの天気で父様はうれしがって被居っしゃる。十二時五十二分のでかえることになさる。おいくさんが来る。丁度御飯のときだったので御給仕なんかをして貰う。