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にっき

日記

宮本 百合子

04 一九一七年(大正六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,447 字 · 76 页

青空文庫

七月二十一日

それ等の人達の指導が、はたして当を得て居ると云えるだろうか。現代の教育! 私は完くたまらない心持がする。

自分が受けて来たような種々の苦しみ、それは私にとっては、決して無駄なものではなかったけれども、それに堪えられないような沢山の若い人達にも同じ、若しかすればまるで何の利益がないかもしれない圧迫や不合理で苦しめたくはない。

七月二十一日(土曜)

夕方っから、会田さんと、本郷の袴屋へ袴を命じに行く。袴の地などが、此頃の若い婦人の趣味のは知らないが、著しく悪化されて居るのに驚く。まるで劒舞のようなのさえある。

かえりに松岡夫人を見舞に廻る。大塚の宮下で降りて、街燈のない淋しい通りを行かなければならないのに、九時すぎても、悪止めされるにはこまる。客の応接などはもう少し単純に快くしてくれなければ此の暑さに全くこまる。もう四五年前までは、街燈のない通りもあったのだが、そして歩くのにも、そんなに不安は感じなかったのだが、此頃は非常にいやに思う。文明機関が、貧しいながら少しずつ調って来るにつれて、何だか神経過敏になって来るようだと云うことは嘘でなく思う。

七月二十二日(日曜)