轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

絞りの着物を着て、やっと歩いて出ていらしてお腹を落して椅子にかけていらした時分です。日本画家が幽霊をかく時には、必ず頭のぐるりをぼかして少しはなして、ポウポウとした毛を描きます。それがどんなに実際に観察にたっているかということが沁み沁みとわかって、あれを思い出す度にああよくも命が助かったと思いますが、今の私は爪に死線が出たとおり髪もピンチです。いささか亡者めいています。まるでチョロリとしたしっぽを下げているきりで、いかに私が楽天的な妻でも、頭に毛が十本というのではお目にかかりにくいわ。

来年になって眼の方がちゃんとしたら、髪の毛もせめて普通までこぎ戻るように太陽燈でもかけます。これは眼に害がある光線だから目下は御心のままに抜けているしかありません。

芸術家と日常生活の関係は全くここに言われている通りです。文学は生活感へいつも立ち戻るところがあるけれども、音楽や絵は一定の技術上の習練がいる為に、そこに足をとられて女の人などは殊に危っかしくなり勝ちですね。

この頃私は人々の向上心というものについて興味ある観察をしていますが、(ついてはページをくってみたところ、もう十枚目だからこれは次便にまわします)