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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
二人は、金五郎とお京とが、ひどく仲よくしていて、いつの間にか、「飛鳥」から見えなくなったことを、マンに、話したくなかったのである。
(変やわ)
マンは、嘗てない二人の態度を、ちょっと、不審に思った。金五郎と芸者とが、街を歩いていた姿は、自分も見かけたし、兄林助からも聞かされていたので、源十と時次郎とが、金五郎と一緒でなかったことは別に不思議には思わなかったけれども、子分たちの、奇妙に、秘密めかした、マンを憚っているような、意味ありげな様子が、気にかかった。小首を傾け、眉をよせた。
兄林助には、大言壮語したけれども、そこは、マンも、女である。俄かに、胸中に、妬情めいた、疑心暗鬼が生じた。
それでも、マンが、なお、台所で、三升釜を磨く仕事をつづけていると、玄関の格子戸が開いた。
「おごめん」
出て見ると、若い俥ひきが立っている。
「これを、「飛鳥」の女将さんが、あなたに渡して下さい、って」
一通の手紙である。
駄賃をやって、使いをかえすと、マンは、それを台所に持って来て、開封した。
読んで行くマンの顔色が、みるみる、変った。眼が、狐のように、吊りあがる。
たどたどしい女文字の片仮名文章は、