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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「お前にも、煙草銭やろ。……ほら」

「そうけ」

※に、四と吹きかけて、二で治まれば予定どおり、三なら大成功、という目算であったから、金五郎の胴巻は、現金でふくらんでいる。そのなかから、目ノ子算で、いくらかをつかみだして、清七の手のひらに握らせた。

公園になっている湯町の入口に、小さい骨董屋があった。あまり高級でないガラクタ店である。

馬車を止めると、金五郎は、つかつかと、その店に入った。

「やあ、金さん、おいで」

赤鼻で、禿頭の親父が出て来た。木魚のように、口が大きい。

「こないだから、銭がでけたら貰うというとった助広の短刀な、あれをおくれんかな」

「がいに、儲かったのけ?」

「雀の涙ばかり」

「蜜柑じゃあ、今年は、みんなが損ばかりしよるとに、やっぱり、金さんじゃなあ」

紫の袋につつんだ一振りの小刀を、奥からとりだして来た。うけとると、鞘を抜き、よくあらためてから、金を払った。骨董屋を出た。

「あがいに、前から欲しがっとったのを、とうどう、手に入れたなあ」

清七も、金五郎の刀剣好きを知っていたので、祝福の言葉をのべた。

馬車を知りあいの果物店にあずけて、共同湯に、行った。