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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「蝶々牡丹のお京」は、一度いったことは、ちゃんと守るのが大好きさ」
その後、お京の行方は杳として知れない。
三つになる娘の百合香に、可愛い洋服を着せ、君香が手を引いて、玉井家を訪れて来た。
金五郎の顔を見るなり、
「おマンはんは、まだ、帰って来やはらんのだッか?」
「もう、帰らんかも知れんよ」
「そないなこた、あらしよまいけど、……すみまへん」
「あんたが謝ることはない」
「染奴て、無茶しよる。……そらそうと、昨夜から今朝にかけて、えらい騒ぎや」
「なんで?」
このときは、まだ、金五郎は斬髪事件を知らなかったので聞きかえした。
君香は、ひととおり、輪郭を話して、ため息をつくように、
「そんな思いきったことするのは、お京はんに定まったる。お京はんとしては、無理あらへんやろ。そやけど、やっぱ、困るのは結局はこっちや」
「友田から、なんか、苦情でもいうて来たのかね?」
「染奴は、誰からされたともいわへんらしけど、友田は、あての方に、因縁つけて来よるのや。理窟も屁ったくれもない、横車やよってに、なんぼ、理を詰めた話したかてあかへん。友田の子分で、「山犬の松」とかいう、すごいのがやって来て――小指を切って、詫びを入れるなら、こらえてやるが、そやなかったら、今すぐ染奴の髪をもとのとおりにしてかえせ。