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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
金五郎が、呆気に取られていると、あたりの繁みがざわついて、五六人の黒い人影があらわれた。金五郎を取り巻いた。うす明かりのなかに、それらが、いずれも、与太者風体であることが認められた。五郎は、どこかで、巧妙に、彼等と連絡を取ったものらしい。
「田舎の親分さん」
すでに、勝利者の傲岸さで、その語調も嘲笑的である。
金五郎は、返事が出来ない。
「これをごらんな」
般若の五郎が懐から取りだしたのは、金五郎の財布だった。いつ、どこで、掏り取ったのであろうか。金五郎は、呆然となった。
「関東の掏摸は、一度狙ったホシは外さねえんだ。外したら、沽券にかかわる。昨日はドジを踏んだが、今日は思いを遂げるんだ。ざまあみやがれ」
「五郎さん、あんたのすることは、わからん。あんたを助けたわたしに、どうして、こんな仕打ちをするんじゃ?」
「助けた? ケッ、笑わせるねえ。お京の仇討だ。覚悟しやがれ」
「お京さんの仇討? どういう意味です? わけを聞かせて下さい」
「こっちには、ちゃんとわかってるんだ。……野郎共、こいつの身ぐるみ、剥がしてしまえ。裸にしたら、瓢箪池に投りこめ」
「おう」
「合点だ」